四谷「懐石大原」

コシアブラのご飯 

食べ歩き ,

一口食べた途端に、体中の毛穴が浄化され、血がすこやかに流れ、細胞が清められた。
コシアブラのご飯である。
「私の地元、新潟派では、こうした食べていました」。
ご主人大原さんはそう言われた。
天ぷらは何度もいただいたが、炊き込みご飯は初めてである。
コシアブラの山菜としての精気は、天ぷらよりご飯の方が生きる気がした。
細かくされ、炊き込まれたことによって、コシアブラの香気がよりマクロになり、我々の細胞に浸透していく。
そうして汚れた脂肪も、淀んだ思想も、きれいに洗い流してくれるのだ。

四谷「懐石大原」にて。